これまで当スクールが実施したワークショップやセミナーで描かれた画をいくつか紹介し、その画に反映されている「心の状態」を分析し解説します。

  • 各画を描かれた方の同意を得て掲載しています(著作権は作者にあります)。
  • 各画の転載は禁止します。また、お問い合わせにも応じかねます。

【テーマ】怒り

画像:作例-20111116《分析と解説》
「怒ってはいけない」と我慢しつつも(ひびを表すギザギザの波目の正確さに表れています)、自分の大切な思い(殻の外に漏れ出た中身が表している)が無にされたような悲しみも感じます。感情が制御された、静けさのある画です。卵の殻はしっかりと描かれており、「怒りが外に出ないように」との意識が感じられますが、「それでも伝えたい」という意思も感じられます。


【テーマ】感謝している人へのプレゼント

画像:作例-20111116B《分析と解説》
描かれた方によれば「お世話になった方に、新米と黒豆を贈る」とのこと。その季節にしか採れない物を収穫したとき、お世話になった方を思い出すのは、とても風情を感じます。お米がお茶碗から弾けているように見えるのも、プレゼントするときの「いきいき感」を感じます。プレゼントする物と対象となる相手が明確です。


【テーマ】昨年の達成感

画像:作例-20120402A〈描いた方の談話〉
「昨年、ホームページを作成しました。いろんな人に助けていただきながら作成し、そのホームページをご覧になった方と出会うこともできました」

《分析と解説》
今までにない、対人関係が広がった感動が伝わってきます。ホームページによって社会にいい「調べ」(メロディのような曲線)が伝わっていく楽しさ、そしてかかわる方の喜びも感じ取れます。楽しい時は、人の姿は手が広がり、直立ではありませんね!


【テーマ】「さようなら」を言った時

画像:作例-20090517〈描いた方の談話〉
「父が亡くなった時は悲しかった、でも、私をとても可愛がってくれていたので、悲しくはあっても、前を向くことができた。その時の気持ちです」

《分析と解説》
チェーン状の形態は、自分の家族関係を表現する際に、描かれやすいモチーフです。悲しいと涙が目からこぼれる……当たり前と言えば当たり前ですが、人体の計り知れない不思議を感じます。


【テーマ】①ただの生き物 ②その生き物に名前を付けてみる

《分析と解説》

画像:作例-20171122C左(ただの生き物)では“野放し”だったメダカが、右(名前を付ける)では、水槽に入り、水草もあって快適そうです。メダカもいろいろな方向に動いており、名前の付け方も個性的です。
対象に名前を付けると「自分との関係性」が生まれます。愛は対象とのキャッチボール。自分がボールを投げたら、結果に感情的な執着をしないことです。いつも受け身だと、他人からの投げかけを判定しようと、いつも“鎧”を着ることになり、現実の「当事者」ではなく「観察者」になってしまいます。対象物に命名する(ボールを投げる)ことで、守るつもりが “枠” をつける(相手を束縛する)ことが多々あります。一方的にマウンティングするのではなく、「謙虚になること」が必要です。


【テーマ】自分が思う「かわいげのない子供」

画像:作例-20121215〈描いた方の談話〉
「しゃべらなくなる子供と、なまける子供」

《分析と解説》
このテーマでは、今の自分自身について、潜在的に「カワイクナイ」と思っていることが描かれます。対人関係にとって、とても意味のあるテーマです。


【テーマ】共同画

画像:作例-20140508《分析と解説》
「共同画」はグループで1つの画を描いてもらいます。これは3人グループの作例で、一人ひとり順番に描き足してもらいました。
最初の人が描いたのは女の子だけで、次の人が腰掛け、その次がテーブルを描き加えました。夏休みの宿題をしているような、皆の温かい眼差しが感じられる画に仕上がりました。構図とオレンジ色がピッタリ合い、かわいらしさが瞬時に共有されるとともに、女の子に「求心力」が感じられます。

 


【テーマ】紙上バトル

画像:作例-20130406B《分析と解説》
「紙上バトル」は、2人が同じ紙に線や図形を交互に描き合います(それぞれ使う色を1色決める)。相手と理解し合うには、ただ押すだけでなく、引いたりソフトになったり、多様な心の状態があり得ると認識することがこのテーマの目的です。
右の作例は同じペアによるバトルで、上の画像が画用紙のオモテ、下の画像がウラに描かれたものです。
先攻は「緑」で、左下から右上へ延びる大きなジグザグの矢印を描きました。後攻の「青」は対抗して大きな矢印を描きました。その後も、大きな図形を描いていく「緑」に、「青」は塗りつぶした円や、緑の図形を打ち消す向きの矢印で対抗していきます。
紙面がいっぱいになった段階で「青」は画用紙を裏返し(下の画像)、中央に●を置いて右上・左上の隅から線を描きました。オモテの展開を1点に集約し「丸く収めよう」というメッセージです。しかし「緑」はこれに乗らず、そこから下方へ新たな流れを広げました。
この時点で両者は際限のない“戦い”に突入すると判断され、バトル終了です。画用紙の両面を使った、画期的な画になりました。