論文を掲載しました

画像:論文の一部

長年取り組んできたアートセラピー研究の一環として、論文をまとめました。
下記のリンクからお読みいただけます(PDF文書)。

『アートセラピーで「自己表現」には意識的と無意識があることに気づく』

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「生き方や感じ方は人それぞれなのだから、自己分析などせず、自由でいい」と言う声があります。しかし、これまで多くのアートセラピー体験者と出会い、描かれた画を見てきた経験から、人は「個」であると同時に、「他人(ひと)との関係」の中で日々生きている――ということがよく分かります。
他人(ひと)と自分の心の境界線は、実はあってないようなものです。自分と他人(ひと)との共生感覚は、感情や行動にそのまま表れていきます。「共生できる」ということは、共通の価値観が心の底に流れていることだと言えるでしょう。

ただ、その価値観は自分では気づいていないことが多く、知るためには自己分析が必要になります。

ある30代の男性と話をしたときのことです。結婚に対する考えを聞いたところ、「自分の事だけでも不安と問題があるのに、結婚したら相手の分まで抱えてしまう。だから結婚はしたくない」と回答されました。
こうした考えには、その人の「過去」が関係しています。結婚する・しないのどちらがいいということではなく、今の考えに至った“思い”があるはずです。そうした「過去の“思い”」を知り、「たとえ出会いがあっても結婚はしない」という強固な考えから離れることで、心が成長する可能性があります。自身への寛容性が高まり、「結婚する・しない」という二極性の縛りから自由になることができます。

人は、意識しているか否かを問わず、だれもが心に「檻」をつくっています。画を描くことで得られる最も分かりやすい効果の一つは、自分のつくった「心の檻」に出会うことです。

この資料が何かのヒントになれば幸いです。とても集中力のある、分かりやすい心の図を作成いただいたY様、画の掲載を頂いた皆様、本当にありがとうございます。