自分を見つめ直すことで始まる、新しい生き方

アートセラピストアカデミー有限会
代表取締

アートセラピーに取り組んで30年近くになります。

画像:黒須美枝講義風景1私が研究を始めた頃は、一部の先進的な医療機関を除き、アートセラピーについて知っている人は、日本にはほとんどいませんでした。現在では、精神科医療の現場を中心に、かなり活用されるようになっています。
それでも、欧米諸国と比較すると、普及率、認知度ともに、日本は「まだまだ及ばない」という状況です。“先進国”であるアメリカでは、アートセラピーはすでに独立した学問として、大学等で活発に研究されているだけではなく、専門のアートセラピストを養成する課程も設置されています。アートセラピーが、社会に広く認知されていますが、日本では「精神疾患の治療法」としてのみクローズアップされる傾向があります。
それも重要なことですが、アートセラピーの理念と方法は、医療分野に限定されるものではなく、他の分野にも広く応用できるものです。

そうした、アートセラピーの持つ“可能性”をもっと追求したいという思いが、私の中にずっとありました。具体的には、アートセラピーの活用を医療に限定するのではなく、普通の人々が健やかな生活を送るための指針として活用すること、そしてその一環として、「描くこと」に加えて「見ることによる効果」を研究することです。
 そうした、理想を追求し、もっと社会にアートセラピーを普及していきたいとの思いが高まり、2004年、アートセラピストアカデミーを設立致しました。

“心の違和感”をやわらげる

私がアートセラピストアカデミーを設立した理由は、もう一つあります。近年、ニュースや新聞を見聞きするたびに「現代人は皆、何か“心の違和感”を抱えたまま生きている」という思いを強くしていたからです。同じ様なことを漠然と感じている方は、多いのではないでしょうか。
深刻な事件や悲惨な事故の根底には“心の違和感”があり、それが社会との整合を拒み、その結果、外に対して攻撃的になったり、逆に自分自身を傷つけたりするのではないかと考えます。中には、外部との整合を無理強いして、自分自身を責めてしまう人もいるでしょう。
ニュースで報じられる事件や事故のような深刻な事例に至らなくても、日々何となく“生きづらさ”を感じながら暮らしている人は少なくないはずです。「フリーター」や、さらには、就業さえしようとしない「ニート」と呼ばれる若者が増えていることも、一つの表れではないでしょうか。
 「アートセラピーなら、そうした“心の違和感”を軽くするお手伝いができるのではないか」……そう思いました。

私は医師ではありませんから、心の「治療」はできません。しかし、描かれた画を通して見えてくる「心の内側」を分析・解釈して“心の違和感”をやわらげ、それを基に、生き方の“指針”を示すことはできます(ただし、その“指針”に納得し、未来への道を歩んでいくのは、あくまでも各人の意志によります。心の違和感を軽くする「お手伝い」と前述したのは、この意味からです)。

アートセラピーで救われた私

実を言うと、私自身「アートセラピーで救われた」という思いが強くあります。アートセラピーに取り組むようになったきっかけが、まさしく、私自身が“心の違和感”を感じていたからでした。

画像:黒須美枝講義風景2私は大学を卒業してすぐ結婚し、家庭に入りました。けれどもいつしか、繰り返される同じ様な日々に、自分でもうまく説明ができない“息苦しさ”を感じるようになりました。そしてそれを、周りの人のせいと思い込んでいたのです。たぶん心の底では、自分自身の問題とわかっていたのでしょう。でもだからこそ、余計に他人に対して攻撃的になったようです。嫌なことはすぐ口に出る、何もかもが気に入らない、でも何が望みなのかはわからない……。
“息苦しさ”にどうにも耐えられなくなった時、外で働く決心をしました。「とにかく家の外に出よう」――学校を卒業後、ダイレクトに社会に出た方には、もどかしく思えるかもしれません。しかし、外で働いた経験が無いまま、専業主婦として数年過ごしてきた私にとっては、本当に“ハイリスクなこと”だったのです。
周囲の共感を得られないまま就職したのは、新聞の求人広告で見つけた画廊でした。「子供の頃から絵だけは大好きだったから」という単純な理由からでした。それに“ぎりぎりの思い”で就職したはずなのに「嫌になったら辞めればいい」とも思っていました。
ところが、そこでの仕事を通して、アートセラピーと出会ったのです。アメリカで行われている、精神科の治療手段の一つとして紹介されていたのですが、すぐに「私のように“生きづらさ”を感じている人が、自分自身を知り、自信を持つために役立てることはできないだろうか」と思いました。

こうして私はアートセラピーの研究を始め、それが、私にとってのアートセラピーになりました。人はなぜ絵に感動するのか、名画とは何だろうか……先が見えない試行錯誤の中で、「結局はアートの基本に立ち返ることが重要」と思い至ったのです。アーティストは「他人にこう思われたい」と思って表現するのではない、アートは、言葉より素直に、飾らず、ありのままに自分の潜在意識を表現することができる……そう気づいたのです。

人生に「遅すぎる」はない

そう悟った時、まず私自身が、私自身を“素”のまま受け入れる必要があると気づきました。そして、ありのままの自分を受け入れた時から、自分を少しずつ好きになり、人に感謝できるようになったのです。会う人からも「顔が明るくなったね」「行動的になった」「他人と協調できるようになった」と言われるようになりました。
よく「大変な出来事を機に心情が変わった」という話を聞きますが、私にとっては、アートセラピーとの出会いがそうでした。見えざる“何か”に導かれたように思えます。本当に感謝しています。

あなたも、これからの人生を楽しく豊かに送るために、ぜひ当スクールのアートセラピー講座で、本当の自分自身を知って下さい。「画を描いただけで“本当の自分”が見えるなんて」と思われるかもしれません。でも、実際に描いてみれば、目の前の画の中に、本当に正直な自分が「存在」することが、すぐにわかるはずです。
人は「何歳だからこうしなくてはいけない」ということはありません。さまざまな時間の中で、思うように生きて構わないのです。楽しく生きることは何歳からでもできる、人生に「遅すぎる」ということはない、今すぐからでもできる……これも私がアートセラピーを通して学んだことです。

一人でも多くの方が、アートセラピーを通して、もっと人生を楽しめるようになっていただけるよう願っています。
皆様の受講を心よりお待ち申し上げております。

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